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イタリア・アルベロベッロ観光前に知っておきたい5つのTips

4.トゥルッリは、先史時代から継承されている技術を見ることができる「生きた証」

昔のアルベロベッロの人々の暮らしを再現したジオラマ

昔のアルベロベッロの人々の暮らしを再現したジオラマ

石を積み上げるだけで造られているトゥルッリ。解体が簡単と聞くと、住み心地が悪そうな印象を受けるかもしれませんが、「それなりに快適な生活を送れる」のがトゥルッリのすごい所。

実はトゥルッリの壁は二重構造になっており、内壁と外壁の間には土砂がサンドされています。この土砂は、雨が降った時に雨水を濾過しながら地下まで誘導する排水路のような役割を果たしているため、雨が降っても石の隙間から雨水が漏れてくる心配はありません。

加えて土砂で濾過した雨水を地下に設置した水槽に溜めることによって、日差しが強く、雨が少ないアルベロベッロでの生活において、水を有効活用することも計算されています。

観光地化されていない、今でも一般の人が暮らすアイア・ピッコラ地区

観光地化されておらず、今でも一般の人が暮らすアイア・ピッコラ地区

また、白い壁は室内を明るく見せるのに効果的で、外気を遮断しつつも明るい室内で過ごすことができるという仕組みになっています。このように、トゥルッリは解体することが簡単ながらも、当時の人々は「それなりに快適な生活」を送ることができていたのです。

そしてこれらの建築技術は、西ヨーロッパにおいて先史時代から使われていたもの。そんなはるか昔からある建築技術を、現代の世界でも見ることができるのがアルベロベッロのトゥルッロ住居群(トゥルッリ)。先史時代に使われていた乾式工法の「生きた証」として高く評価されているのも納得です。

5.アルベロベッロのトゥルッリは、ケチな領主の税金対策のために生まれた

アルベロベッロのトゥルッリ

トゥルッリの屋根を近くで見ると結構な迫力がある

ここまでの説明で、「アルベロベッロのトゥルッリって何だかものすごいぞ」と思った方もいるかもしれませんが、アルベロベッロでトゥルッリが盛んに建てられるようになった背景には、「ちょっとがっくし」なストーリーが秘められています。

なぜ「がっくし」かと言うと、アルベロベッロのトゥルッリは、税金を払いたくないある領主の命令によって盛んに建てられるようになったからです。

びっしりと隙間なく建てらているアルベロベッロのトゥルッリ

びっしりと隙間なく建てらているアルベロベッロのトゥルッリ

トゥルッリの建設が始まったのは14世紀半ばからと言われていますが、アルベロベッロでトゥルッリ造りが最も盛んになったのは17世紀始めの1620年から。

その当時新たにアルベロベッロの領主となったジャンジローラモ・アックアヴィーヴァ(ジャンジローラモ2世)という人物が、パン屋さんや小麦粉屋さんなどの商業施設を始め、たくさんの住居を建てることでアルベロベッロに人を誘致し、アルベロベッロの都市化計画を始めたことがきっかけです。

ところが、「住民の数(住居の数)に応じた納税」を義務付けられていた当時の領主たち。「自分が治めている街にたくさんの人に住んで欲しいけど、税金は払いたくない」と考えたジャンジローラモは、政府のチェックが入るタイミングに合わせて簡単に解体できる、トゥルッリのみを住居として認めることにしました。

一つの立派な街へと進化を遂げたアルベロベッロ

一つの立派な街へと進化を遂げたアルベロベッロ

「アルベロベッロ内で、トゥルッロ以外の家の建築は禁止する」というなんとも自分勝手な行動をとったジャンジローラモ。ですが彼のこの身勝手なルールによって、当時はまだ40ほどしかなかったトゥルッリが一気に1,000以上にも増え、現在世界遺産に登録されている「モンティ地区」や「アイア・ピッコラ地区」が形成されたと言われています。

政府のチェックが入るたびに住民に家(トゥルッリ)を解体させることによって、ジャンジローラモはせっせと脱税に励んでいたそうです。

ケチな領主ジャンジローラモのおかげで今のアルベロベッロが出来たのかと思うと、何だか少し「がっくし」な気持ちにもなりますが、彼のケチさに感謝して、アルベロベッロの観光を楽しみましょう!

さぁ、アルベロベッロの観光に出かける準備はできましたか?

多くの観光客で賑わうアルベロベッロ

多くの観光客で賑わうアルベロベッロ

おとぎの国のようにメルヘンな世界が広がるアルベロベッロですが、この街が出来上がるまでの背景を知ることによって、観光中に目にするものから受ける印象も大きく変わってくると思いませんか? ということで次回の記事では、アルベロベッロを訪れた際に絶対に抑えておきたい観光スポットについて紹介します。

アルベロベッロには、どんな見どころが詰まっているのでしょうか?乞うご期待!

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