
クロアチア・スプリット観光:聖ドムニウス大聖堂とジュピター神殿(洗礼室)の見どころ
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聖ドムニウス大聖堂:10の見どころ

鐘楼の横にある八角形の形をした建物が聖ドミニウス大聖堂
聖ドムニウス大聖堂は、スプリット旧市街の中心地「ぺリスティル広場」に隣接しています。八角形にデザインされたロマネスク様式の建物が特徴的で、この姿は約1,700年前に建てられた当時の姿のままだと言われています。
また八角形の建物を囲んでいる28本の柱にもご注目。これらはディオクレティアヌス帝がエジプト遠征から持ち帰ってきたと言われているもので、ほぼ完璧に近い状態で、当時のままの姿で保存されています。

八角形の建物を囲んでいる28本の柱は霊廟として使用されていた当時のまま
外観はシンプル、かつ「大聖堂」という割にはこじんまりとしたサイズの聖ドミニウス大聖堂ですが、一歩内部へ足を踏み入れた途端、外の姿からはかけ離れた豪華で荘厳な世界が広がっています。
ロマネスク、バロック、ゴシックと、異なる様式で造られた祭壇、説教壇、装飾品が所狭しと並び、これらの中には「傑作」と世界から称されているものも含まれています。それでは以下より、聖ドムニウス大聖堂の10の見どころについて紹介します。
1.入り口の扉

1つの扉に14場面彫られている
大聖堂の内部へと足を踏み入れる前に、まずはじっくりと入り口の扉に注目してみてください。1214年、くるみの木の上にのせたオーク材(樫の木)を削り取ることで造られたこの彫刻扉には、受胎告知から昇天に至るまで、新約聖書に書かれているイエス・キリストの生涯が28場面に分けられて彫られています。
この扉を手がけたのは、クロアチア・スプリット出身の芸術家アンドリア・ブヴィナ(Andrea Buvina)という人物。その繊細で巧みな技術から、聖ドムニウス大聖堂入り口のこの扉は「ロマネスク様式彫刻の傑作」と評されています。
2.大聖堂の天井

無装飾でさっぱりとしている天井
高さ21メートルの位置にある聖ドムニウス大聖堂の天井。ディオクレティアヌス帝の霊廟が建てられた際に使用されたレンガが、当時のままの姿で残されています。
現在は白地となっているこの天井ですが、16世紀までは煌びやかで豪華なモザイク画で装飾されていたといいます。ですがその美しかったモザイクはすべて、大聖堂へと改築していく過程で取り除かれしまっています。
3.ディオクレティアヌス帝とその妻の浮き彫り(レリーフ)

柱の最上部付近の装飾は霊廟時代当時のまま
大聖堂内部には“エレガントさ”が特徴のコリント式の柱が8本、八角形の建物の形に沿うように並んでいますが、注目してほしいのは、その柱の最上部付近に施されている浮き彫りの装飾。

メダリオン(丸で囲われている箇所)の中の人物にご注目
天使の姿をした男の子たちが狩猟をしている様子が描かれていますが、その狩猟の流れを止めるようにして配置されている「メダリオン」は超特別級(主祭壇の上にある高窓を正面に見て、左右の壁に配置されています)。
なぜなら、このメダリオンの中に描かれている人物はディオクレティアヌス帝で、その右側にいるのが妻プリスカであると言われているからです。
先の天井のモザイク画など、霊廟を大聖堂へと改築していく過程において、ディオクレティアヌス帝を思わせるものはほとんど取り除かれてしまった大聖堂。そんな中で残されたこの皇帝のレリーフは、かつて霊廟として使われていた当時の名残を感じるとともに、数少ないディオクレティアヌス帝の肖像画の一つとしてとても貴重なものとされています。
4.主祭壇

主祭壇天井に施されている豪華な装飾
聖堂内には4つの祭壇がありますが、最も煌びやかでひと際目立っているのが、1685年~1689年にかけて造られた正面にあるバロック式の主祭壇です。
目に見た通り、金色に光るその豪華な装飾が特徴的です。アーチ部分には12枚の小さな絵画が飾られ、これらもすべて金で縁どられています。
5.聖歌隊席

聖歌隊席の精微な彫刻
主祭壇の後方部にあり、大聖堂の東側にあるのが、繊細で美しい彫刻が施されている木製聖歌隊席。13世紀前半に彫られ、その精微な彫刻が高く評価されています。

聖堂内に後付けされたスペース
この聖歌隊席、もともとは主祭壇の前に置かれていたそうなのですが「聖堂内があまりも狭すぎる」という理由から、聖歌隊席を移動するための聖堂内拡大計画が実施されたそうです。
その計画によって聖堂東側の壁が取り壊され、新たなスペースが追加。そして17世紀、この聖歌隊席は増築された東側の部屋へと移され、現在に至ります。
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