【旅の記憶vol.1】幸せも不幸せも、自分次第@クロアチア
暮らしながら旅を続けるフリーライターFukino(島袋芙貴乃)が、旅先で得た人生の再発見を綴るエッセイ。
幸せも不幸せも、自分次第
世界一夕日が美しい街と言われている、クロアチアの観光地ザダル。
その世界一の夕日を見ようと集まる人たちの中には女一人旅の人もチラホラいたけれど、女一人で缶ビールを飲んでいたのは私だけだった。
この際ぶっちゃけると、私が持っていた缶ビールは1本のみならず、プラスチックのチープなスーパー袋にさらに2〜3缶忍ばせて持ち歩いていた。
心なしか、私の周囲は少しだけ広くスペースが空いていた気がする。
浜崎あゆみはかつて「恋人たちは幸せそうに手をつないで歩いているけど、その真実はふたりだけしか知らない」って歌っていた。
私はザダルで、「寂しい女の極み」と思われたかもしれないけれど。
この時の私が、穏やかな幸せに包まれた中、心のシャッターを夢中で切り続けていたということは、私だけしか知らない真実。
楽しむのも、寂しがるのも、自分次第。
幸せになるか、不幸になるかは、自分で決める。
いつかまた一人でザダルを訪れる日が来たとしても、私は迷わず、缶ビールを手にこの夕日を望む。
だって、世界一の夕日と乾杯できるチャンス、人生の中でそうめったにあることじゃないじゃない?
そんなことを思いながら、ゆっくりとまぶたを閉じて、心のシャッターをもう一度押す。
ほら、ビール持ってザダルの夕日を眺めたくなっちゃった?
うふふ。
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Date:2017/07/10
Place:クロアチア-ザダル
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ザダルが「世界一夕日が美しい街」と言われるようになったワケ
ザダルが「世界一夕日が美しい街」として有名になったきっかけは、サスペンス映画の神様と呼ばれるイギリス出身の有名な映画監督「アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)」という人のあるひと言から。
1964年5月、休暇のためにザダルを訪れていたアルフレッド・ヒッチコック。彼が滞在していた「ホテル・ザグレブ(Hotel Zagreb)」204号室の窓から何の気なしに海を眺めてみると、そこでは信じられないほどゴージャスなサンセットショーが繰り広げられていたとのこと。
そんなサンセットショーに、一瞬で心を奪われてしまった彼が放った有名なひと言がこちら。
「ザダルの夕日は、世界一美しい。フロリダのキー・ウエストのそれよりも、はるかに美しい。ーーThe Sunset in Zadar is the most beautiful in the world and incomparably more beautiful than the one in Key West in Florida.」
※アルフレッド・ヒッチコックがフロリダのキー・ウエストと比べているのは、ここで映画を撮っていたことから。
以降アルフレッド・ヒッチコック監督は、ザダルに滞在中、その美しいサンセットを記録に残すために連日カメラのシャッターを切る手を止めることができなかったとか。映画史に名前を残す超有名監督をも魅了したのが、このザダルの夕日なのでございます。
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