【旅の記憶vol.3】にじみ出る愛に、泣かされた@インド

暮らしながら旅を続けるフリーライターFukino(島袋芙貴乃)が、旅先で得た人生の再発見を綴るエッセイ。

にじみ出る愛に、泣かされた

ふき旅エッセイ_2018年8月25日インド
親友の一人が、この夏インドで結婚式を挙げた。

出会った時から結婚することが決まっていたかのように、ふたりが夫婦になるまでの流れはとても自然だった。

インドで結婚式をすると聞いた時は、私を含む友人たちも大興奮。「サリー着ちゃう!?着るでしょ!前夜祭と本番で違う衣裳にしちゃう!?」花嫁そっちのけで、インドの結婚式に参加する自分たちのことに頭がいっぱい。インド行きに向けて、胸も高鳴る一方だった。

結婚式当日、彼女は会場の舞台の上で、インドの家族に囲まれていた。日本のそれとは全く異なる雰囲気の中、インドでの結婚の儀式が次々と執り行われていく。

結婚準備と日本から来るゲストへの配慮なんかで睡眠時間が究極に不足していた彼女は、儀式の途中で寝落ちしそうになりながらも、慣れないインドでの全ての儀式を立派にやり遂げていた。

「だって眠かったんだも〜ん」

儀式の合間に少しだけ話す時間があったとき、さっき寝てたでしょ、とチクリと言うと、悪びれる様子もなく彼女はそう答えた。インドに来ても相変わらずの、いつもの彼女のままだ。

そんなマイペースな彼女の、今まで見たことのない顔を見たのは、式の終盤のことだった。それはふたりの幸せを願い、式の参加者が新郎新婦の頭にお米をかけるという儀式でのこと。

頭をお米まみれにしながら、彼女は穏やかに笑い、手を合わせ、一人一人に丁寧に頭を下げてありがとうと伝えていた。その表情はとても自然で、ありがとうと伝える眼差しは凛としていて、この先の人生を彼と共に過ごしていくという覚悟を決めた、揺るぎない愛に満ち溢れていた。

顔を見ながら、彼女の心の中に溢れて止まない愛情を見ているような気分だった。

あんなに穏やかに、幸せそうに笑う花嫁を今まで見たことがなくて、彼女から溢れ出てくる愛のエネルギーが強すぎて、捉えようのない喜びが急激に膨れ上がって堪えきれなくなった私は、一人舞台から離れ、誰にも気づかれないように顔を梅干しみたいに丸めながら、格好悪く無音で泣いた。

彼女が愛する人に出会えたこと、そして愛する人の家族に温かく迎えられていることが、本当に嬉しかった。

言葉も文化も、食べるものも、生活習慣も全く異なる環境で育ったインド人の彼との結婚。それでも、結婚すると聞いた時から、心配を感じることは1ミリもなかった。彼女が愛すると決めた人だから、大丈夫。式の終盤に彼女から出ていた溢れんばかりの愛のオーラが、大丈夫以上の大丈夫だと証明していた。

愛することに覚悟を決めた人が持つ雰囲気は、何て穏やかで、強くて、真っ直ぐで、そして泣けてくるほど温かいんだろう。

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Date:2018/08/25
Place:インド
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さきっぺ、最高のパートナーに出会えて、本当に良かったね。心の奥の奥の奥の奥の方から、本当におめでとう。さきっぺが幸せなんだと感じるだけで、私もとっても幸せです。だからこれからも、どんなに寝不足でも、栄養不足でも、たまに喧嘩をしたとしても、さきっぺからにじみ出てくるふたりの愛を、私たちに感じさせ続けてね。

そして今度は梅干しみたいな顔で隠れて泣くこともしないから、安心して幸せでいてね。

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