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賑やかな夜が始まる前の、穏やかなスプリット

世界の恋愛事情03:恋は、見つめ合うことから始まる?in クロアチア

夏のリゾート地として人気の目的地、クロアチアのアドリア海一帯(俗にいうダルマチア地方)。沿岸沿いに数ある街の中でも特に人気の街の一つが、クロアチア第2の都市「スプリット(Split)」。

スプリットは、かつての偉大なローマ帝国を支えた皇帝の一人・ディオクレティアヌス帝が保養の地として選んだ場所で、彼が住んでいた大きな宮殿跡地に街ができて発展していったという、ユニークな歴史を持つことでも有名な街。


そんなかつての皇帝が住んでいた宮殿跡地は現在旧市街と呼ばれ、四方を壁で囲まれた街の中にはバーやレストランにカフェ、お土産屋さんにファッションやアクセサリーのテナントと、ジャンルを問わず多くのお店が軒を連ねている。今回は、そんな旧市街にあるバーで繰り広げられる、男と女の物語。

夜の始まりを告げる夕日に包まれる、スプリットの旧市街

夜の始まりを告げる夕日に包まれる、スプリットの旧市街

ペトラ、32歳

俗にクロアチア人は高身長で美男美女が多いと言われているけれど、ペトラの身長はそこまで高くなく、163cmの私と並んでもそこまで変わらないほど(ちなみに私はクロアチアにいた頃、常々ホビット気分だった。それほど、男も女もみんな背が高い)。

ペトラの顔は抜群に整っていて、黒髪のロングヘアが身長の低い彼女を大人な雰囲気に包んでいる。そんなペトラは、当時フリーで恋人募集中。だけどペトラ側からものすごく求めているわけではなく、「いい人に出会ったら」程度に望んでいた。

それでも週末になると、女友だちとバーやクラブに繰り出す。単純に友だちとの時間を楽しむ目的もあるけれど「もしかしていい人に出会うかもしれない」という、恋人募集中の人であれば誰でも抱くだろうちょっとした期待と下心だってもちろんある。

そして先にも触れたように、ペトラは抜群に美人。バーやクラブに行けば、たくさんの男たちがあちらこちらからペトラに視線を送ってくるものだから、ペトラからすると「その中に」いい人がいるといいな、という感覚でいる。

ちなみにペトラが抜群に美人だからといって、気取った雰囲気は全くない。クロアチアの平均に比べると低い身長も手伝ってか、とても親しみやすさに溢れているし、誰に対してもオープンで気さくなオーラを放っている。そう、ペトラは世間一般にいうモテる女なのだ。

恋は、見つめ合うことから始まるの

「ねぇペトラ、向こうにいる人が、さっきからペトラのことめっちゃ見てるよ、気づいてる?」

スプリットの旧市街にある、カジュアルなバーのボックス席で飲んでいた私たち。そこには、数メートル離れたカウンター席から「あからさまに」ペトラに熱い視線を送り続ける一人の男がいた。「あからさまに」とは、文字通り「あからさまに」ということ。とにかく彼は、ありったけのパッションをその眼差しに注入し、ペトラだけをガン見しているのだ。なんとも欧米人らしい、ストレートでわかりやすいアピール。

「うん、知ってる」とさらっと答えたペトラは、こう続けた。

「でも彼とは何だか合わない気がするから、視線は合わせないの」

カウンターにいる男へ向けて「カーン!」という試合終了のゴングを心の中で浴びせながら、私はすかさずこう聞いた。

「じゃあ、いいなと思える彼だったらどうするわけ?」

「見つめ返すの。話しかけてってメッセージを込めて」

日本人の女性なら、こちらをガン見している男と事故でも目が合ってしまったら、ニコっと愛想笑いをしてしまいそうなところを、ペトラを含めて欧米の女性たちはそんなことは一切しない。興味がないなら、いくら相手が熱い視線を送ってこようと一切目を合わせることはないし、たとえ事故で目があってしまったとしても、ニコっのニの字もにじませない表情でやりすごす。それはイコール、視線を合わせないことや笑顔を見せないことで、その彼に「なし」と宣告しているのだ。

ところがこれが「いいなと思える彼」となれば話は別モノ。「私もあなたに興味があるよ。だから話しかけて」と、女性側も分かりやすく見つめ返す。そこから、男女の会話が始まるというのがここでの自然の流れだ。こんなバーでのよくある男女の攻防は、ある意味、わかりやすくて良い。

「私の恋は、見つめ合うことから始まるの。気になる彼と話を始めた時、ほんの数秒でも見つめ合ってみるだけで、恋が始まりそうかどうかを感じることができるの。」

ペトラは頼んだカクテルをちょびっとだけ口に含んでそう言った。カクテルの水分で唇が潤ったペトラは、女の私からみても惚れ惚れするほどやっぱりきれいな女だなぁなんて、話しながらも頭で思う。

恋の行方は、目を合わせて最初の数秒で決まる(!)

ペトラいわく、相手の目を数秒間見つめることで、自分の内側から発せされる何かしらの「サイン」を感じるんだそうだ。見つめ合って、胸の高鳴りを感じるならば彼との進展への期待大。それは、胸がじゅわじゅわじゅわ〜っと急速に温まっていくような感覚なんだとか。

一方で見つめ合った時にこの胸の「じゅわじゅわじゅわ」を感じなければ、その彼との「恋人としての未来」は残念ながらないとも言う。「視線を送り返したわけだから(少なくとも話してみたいと思ったわけだから)、良い友だちにはなれるかもしれないけどね」というフォローを添えて。

女は初めて男性と会った時、ほんの数分でその彼を「恋人としてアリ」「一生友だち」と無意識のうちに「振り分け」すると言うけれど、ペトラはそれを「見つめ合う」ことで判断する。

ペトラにとって、最初の段階で見つめ合うことは、恋の未来を左右する「神聖な占い」のようなもののようだ。最初の数秒間で男と女の未来が決まるなんて、何ともスリリングかつロマンチック(私も体験したい)。果たしてペトラは、今までに胸のじゅわじゅわじゅわを感じたことが、何回あるんだろう。

その週末の夜、ペトラからの視線を送り返してもらった男は、結局誰一人といなかった。

恋人募集中の女性の皆さん。次の新しい恋は、見つめ合うことから始めてみるのはいかがかしら。


目は、口ほどにものを言う?

ペトラとのそんなやりとりがあって、昔見たテレビ番組で「言葉を交わさない出会い系パーティ」というイベントが紹介されているのを思い出した。それは、出席した男女が会場で互いに向かい合って座り、数十秒間ただただ見つめ合うという行動を繰り返すというイベントだった。

正真正銘の「アイ(愛?)コミュニケーションを通して見つけるパートナー」というのがこのイベントのコセンプト。

参加した男女は、見つめ合っている間に自分の感情の変化をしっかり観察し、「ピン」ときた相手の名前をイベント最後に主催者側に連絡。そして男女ともにお互いの名前を指名していたら見事「マッチ」となり、主催者側から互いの連絡先を受け渡され、そこからようやく「言葉」での会話を始めることができるという流れ。

いわゆる「目は口ほどにものを言う」ということだ。話術は、磨くことができる。だからもしかしたら、うっかりその話術「だけ」に恋してしまっているということだってある。そこで「本当に好きな人」を見極めるために効果的なのが、会話封じというわけ。その人柄を知る前の「真っさらな状態」でただただ見つめ合うことで「本能からのメッセージ」を読み取ることができるんだとか。

主催者側によると、アイ(愛?)コミュニケーションでピンときた相手とは、その関係性が長続きする傾向があるのだそう。

照れずに、まずは見つめ合ってみる。そんな風に恋を始めるも、なかなか素敵なものじゃない!

▼ちなみに過去「見つめ合うことから始まる恋」に関してこんな映画の感想も書いていた。恋の始まりに、「アイ(愛?)コミュニケーション」はやっぱり欠かせないのかもしれない。

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