クロアチア・コルチュラ島観光で必見!伝統芸能「モレシュカ」
リゾート地ならではの輝く海やビーチも素敵だけど、その土地ならではの伝統芸能を堪能してみるなんていかが? 現在私が滞在しているクロアチア・コルチュラ島には、15世紀から伝わる「モレシュカ」という武術舞踊がある。今回はタイミングよくこの「モレシュカ」を鑑賞することができたので、その様子をレポートします:)
この記事/ページの目次
モレシュカとは? コルチュラ島でしか見ることができない剣の舞
モレシュカとは、12世紀〜13世紀にかけて地中海に隣接する国々で盛んに行われていた「ドラマ仕立ての剣の舞」。その起源はスペインにあるとされている。
クロアチア・コルチュラ島に伝わったのは15世紀で、以来コルチュラ島では500年以上に渡ってこのモレシュカが受け継がれている。
多くの地中海沿岸の国々でモレシュカの伝統が消え途絶え、現在モレシュカを鑑賞することができるのは、なんとこのクロアチア・コルチュラ島だけ(!)。
モレシュカは王道のラブストーリー
さて、モレシュカは「ドラマ仕立ての剣の舞」と説明しましたが、そのストーリーを写真と一緒にご紹介! 一緒に鑑賞している気分になってもらえると嬉しいです。(セリフはメロドラマ風に要約してます)
【登場人物】
- 白い王:オスマン
- 黒い王:モロ
- 美少女:ブーラ
一人の美しい少女を巡って闘争を繰り広げる2人の王
モレシュカの始まりは、白い王・オスマンの宮廷からさらわれた美しい少女・ブーラと、その少女をさらった黒い王・モロが言い争うシーンから始まります。
ブーラ)
私にかまわないでよ! 私が愛しているのはオスマンだけなの。ああ、愛しきオスマン……。私は囚われの身になってしまったけど、私の心はいつまでもあなたのものよ……。
モロ)
嘆き悲しむのをやめないか! もう十分だ! お前がオスマンの話をすると、俺は胸が痛むんだよ。こんなに愛しているのに、なんで分かってくれないんだよ、僕の妖精。
ブーラ)
そんなに私を愛してるなら、この鎖から私を解放してよ!
モロ)
そんなことできるわけないじゃないか! それ以外のことは何でも叶えてやるから。ね、僕の妖精。……ん?何だこの音は?
(ドラムの音がドドドドドドド……とな鳴り響き)
たったらー! 正義のナイト、白い王・オスマン登場!
オスマン)
黒い王よ、お前には騎士としての誇りがないのか? 何の理由もなしに私の婚約者を奴隷にするなんて……。だがそれも今日までだ。今夜、彼女を解放する!
ブーラ)
オスマン、あなたは何て素晴らしいの!
モロ)
お前たちの無礼にはもう我慢できない! みなのも〜やっちまえ〜!
音楽に合わせて戦いを繰り広げる白い王と黒い王の兵士たち
白軍と黒軍と戦いは全部で7ラウンド。剣をガチャンガチャンとぶつけ合い、音楽に合わせて優雅に舞い踊ります。その様子がこちら。
1ラウンドを終えるたび、この動画のように黒い王が「ヴォー!」雄叫びをあげる。その姿、彼が卑怯者であることを忘れてしまうほど、意外とかっこいい。私だけ?
そして4ラウンド目の戦いを終えたとき、兵士たちの様子を見かねた美少女ブーラが両王の間に飛び込んで戦いを中断するよう懇願します。
私が愛する人の命、これ以上危険にさらさないで!
ブーラ)
オスマン(白い王)お願い、これ以上あなたの命を縮める行為はやめて。あなたが死んだら意味がない。あなたが死んでしまうくらいなら、ここで私が死ぬわ!
モロ:黒い王)
ブーラ、そんなことを言うのはやめてくれよ。死んだお前を膝の上に抱えるのはごめんだ……。
オスマン:白い王)
兵士たちよ、立ち上がるのだ!ここで負けるのは騎士のプライドが許さぬ!武器を掲げよ!激しい戦いが始まるぞ!
モロ&オスマン)
ブーラへの深い愛と情熱のためなら、俺たちは喜んで戦いを続けるぞ!
美少女ブーラの仲裁もむなしく、両軍は5ラウンド目の戦いに突入
戦いは激しさを増し、それまでよりもさらに激しく剣をガチャンガチャンとぶつけ合う兵士たち。
そして最終決戦・7ラウンド目を迎えると……
黒い王率いる黒軍、破れたり〜〜〜!! ブーラは感激して白い王のもとへ。そしてブーラの両手と両足を縛っていた重い鉄の鎖を外す白い王。そして……。
喜びのキッス
ブーラ)
私が心から愛するオスマン、私の永遠の忠誠をあなたに贈るわ。私のすべて、受け止めて!
オスマン)
おおブーラ。お前のピュアなキスで、今までの俺の苦しみを流してくれ。
ふたり)
キッス。
観客)
拍手!!!!
めでたしめでたし。
(完)
モレシュカ鑑賞時には日本語解説あり!
ということでこのモレシュカ。ストーリーは全てクロアチア語で展開されるので、外国人はみんな母国語がプリントされた紙を見ながら物語の展開を追っていくのだけど、何とここに日本語のプリントがあった!
受付で係りのおじいちゃんが「どこの国出身?」と聞いていたので「日本だよ」と答えると、顔をクシャクシャにした満面の笑顔で「日本語バージョンもあるんやで〜」と得意そうにこの紙を持ってきた。
ちょっと日本語がおかしな部分もあるけど、そんなの全然許容範囲。外国語を聞き取れなくても十分に楽しむことができちゃう、日本人にも優しいモレシュカ!
モレシュカの前座・コルチュラ島の伝統(?)ダンスにも注目
モレシュカが始まる前に、15分ほど前座的なパフォーマンスが展開される。これもまた独特なダンスで見ていると気分が自然とウキウキ高まる。
男女がペアになって踊るのをベースに、背筋をピンと伸ばして踊る姿が私にとっては新鮮。反復横とびが得意な人なら、とっても上手に踊ることができそう。
日本の舞踊ってとっても静かで動きも繊細で本当に美しいなぁとうっとりするけど、こういう陽気な感じなのもいいね。
コルチュラ島に受け継がれる伝統のモレシュカ、一見の価値あり!
このモレシュカ、毎年7月29日に大きなイベントが開催されるそうで、この日には今回紹介したものとはまた別の剣の舞も鑑賞することができるとのこと。
観光ハイシーズンである夏には、毎週月曜日と木曜日に今回紹介したパフォーマンスが開催され、料金は大人1人100kn(約1,700円)。時間は21時〜から約1時間半ほど。
映画館で1本の映画を見る感覚:)
クロアチア・コルチュラ島でしか見ることができないモレシュカ、コルチュラ島を訪れた際には、ぜひ鑑賞するのをおすすめします!
モレシュカ鑑賞後はライトアップされた旧市街の街並みも楽しめる
モレシュカ鑑賞を終える頃には、あたりはすっかり真っ暗に。でも真っ暗だからこそ楽しめるのが、ライトアップされた旧市街の街並み。コルチュラ島の旧市街は本当に小さく、くるっと一周するのにかかる時間は15分ほど。
オレンジ色のライトに照らされ、昼とは異なる表情の街を眺める散策もまた、とってもオツなのでございます。
Info:コルチュラ島モレシュカ
■開催時期:夏(開催しているかどうかはこちらで要確認)
■開催曜日:月曜日・木曜日
■開催時間:21時〜
■開催場所:Open air cinema(旧市街入り口の門を正面から見て左側)
■料金:100kn/約1,700円(幼児料金があるかは不明)
※チケットは旧市街地にあるツーリストカウンターで事前に購入可
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