England

ロンドン深夜の騒音・ズンズンYOYOモンスター

昨日の出来事。

家のキッチンでお昼ご飯を食べながらパソコンをチェックしていると「ドゥンッドゥンッ」というストリートな低音がどこからともなく聞こえてきた。

そしてその低音が鳴り響く度、私の体には「ブルル、ブルル」と微弱振動がほと走る。ステージにある巨大なスピーカーの横に立っているあの感じ。

全集中力を注いで耳を澄ましてみると、このストリートな低音の音源はどうやら隣の隣のバックヤードにあるらしいことに気づく。

「庭でバーベキューでもしてるのかな?」最初はそう思った。

昨日は「霧の都ロンドン」にしては珍しく、太陽の女神様が一日中私たちに微笑みかけてくれていた。

「きっと彼らは平日水曜日の真っ昼間もかかわらず太陽の温もりを楽しんでいるに違いない」

「分かるよ、その気持ち」

その頃の私は彼らに共感すらしていた。だってこれまで曇り続きだったロンドンで、こんなにも太陽の陽射しが降り注ぎ続けているんだもの。

そりゃズンズン低音響かせてYOYOしたくなっちゃうよね。

でも、ズンズンYOYOが許されるのは日が沈むまでだよね?

日が暮れて辺りが真っ暗になった頃から、私は無意識のうちに「超うるさい」と暴言を吐くようになっていた。

昼間の12時を過ぎたあたりから始まった彼らのズンズンYOYOは、夜9時を超えているというのに一向に終わりそうな気配がない。

むしろ「いよいよ盛り上がってまいりました!」とでも言わんばかりに、よりアップテンポで低音が激しいズンズンYOYOミュージックを鳴り響かせている。

誰か、通報してくれないかな。

絶え間なく鳴り響くそのズンズンYOYOミュージックを前に、私とフラットメイトが出した結論。

「とりあえず夜の11時まで待とう」

ロンドンでは(イギリスでは?)、夜11時以降他人に迷惑をかけるような騒音を出すことは法で禁止されている。

ズンズンYOYOミュージックが夜11時を超えても続くようであれば、権利を主張して堂々と警察に通報できるわけだ。

でも私たちは夜11時を過ぎたら自分たちで通報しようとは決めず、

「誰かが通報すること願おう」

と話し合った。他力本願すぎると思われてもいい。「小さっ」と思われても構わない。

今回の件に関しては「全世界が平和になりますように」と願うのと同じような姿勢でしばらくコトのなりゆきを見ようと決めたのだ。

夜11時超えても、結局誰も通報しなかった

夜11時になることをこんなにも待ち遠しく思ったのは、32年間生きてきて生まれて初めてだった。

その間、隣の家からは普段聞こえないような赤ちゃんの鳴き声が聞こえてきた。

「ほら、やっぱりみんな迷惑に思っている」

と、「誰かさんがしてくれる通報」への期待値も自然と高まっていく。

そして夜11時半、11時45分、0時……時間は刻々と過ぎていく。

でも相変わらずズンズンYOYOミュージックは鳴り止まない。

私がおかしいのかしら、それとも世間がおかしいのかしら?

深夜0時をまわっているにも関わらず、どの「誰かさん」も警察に通報していないようだ。

ここまでくるとさすがに、

「もしかするとズンズンYOYOミュージックは、自然界に存在する音なのかもしれない」

と錯覚すらしてくるようになる。

「So Annoying!」と言っていたフラットメイトの彼女も、とっくに夢の中だ。

寝てみるか。

そう思ってベッドに入っても、ズンズンYOYOミュージックが私を寝かせてくれない。

でも誰も通報しない。

「私がおかしいのかしら、それとも世間がおかしいのかしら」

午前0時半、ズンズンYOYOミュージックというテーマを掲げてベッドの上で哲学を始める始末。こうなったらもう眠れない。

ズンズンYOYOミュージックを止めることができるのは私しかいない

ということで私は安らかな睡眠を取り戻すべく、自ら行動を起こすことにした。

このズンズンYOYOモンスターの息の根を絶やすことができるのは、どうやら私しかいないらしい。

まずは通報先を確認

早速パソコンを開いて「Noise Pollution London(騒音 ロンドン)」と検索。

調べてみると、ロンドンでは24時間年中無休で騒音被害に対する通報を受け付けているけれど、エリア毎に対応する組織が異なっているらしい。

私が住むエリアで対応してくれる組織を探し出し、通報先の電話番号をゲット。

これで、あとは電話をかけるだけだ。

通報する前に証拠も取っておくことにした

もしも通報した直後にズンズンYOYOミュージックが鳴り止んでしまったら、私が「いたずら通報」をしたとも思われかねない。

そんな事態は絶対に避けたい。

ということで私は万事に備え、部屋にいながら聞こえてくるズンズンYOYOミュージックを録音しておいた。

よりクリアに録音するため、とりあえず窓を開けて録音した。

軍団の中にはテレパシストがいる? 突如鳴り止んだズンズンYOYO

そしていざ電話をかけようとしたその時、昼の12時頃からのべ12時間以上も鳴り響いてたズンズンYOYOミュージックが突如姿を消した。

「え……?」

喜ぶべき結末なはずなのに、私の胸の中では何とも言えない消化不良感がぐるぐるうずを巻いている。

まさに今通報する気満々でスマホを片手に持ち、鼻息あらげて自らを高ぶらせていたこの気持ち、どこでどう消化して良いのかが分からない。

「いっそのこと、あたかもまだ続いているかのように通報してしまおうか」

そんな邪念さえ抱いてしまう。

でももちろんそんなことはしない。

「全世界が平和でありますように」

ほんの数時間前にそんな風に願っていた、あの頃の「wish」な気持ちを思い出そう。

珍しく晴れた日のロンドンに突如姿を表した、ズンズンYOYOモンスターはもういないのだ。これで、いいじゃない。

興奮してちょっとした覚醒モードだった私に、「愛こそ全て」を掲げるエンジェルサイドの私が優しくそう言い聞かせる。

深夜2時前にようやく訪れたいつもの静寂。

改めて目を閉じ、スゥーーーーーッと深く息を吸う。そして吸うのと同じくらいゆっくりスゥーーーっと息を吐く。

そんな深い呼吸を繰り返していくうち、私はいつの間にか、いつもの平和な夢の中へといざなわれたのでありました。

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