とがった気持ちをまあるくする笑顔に出会ったクロアチアの夏の日
イタリア行きのフェリーを乗り過ごすかもしれない。
イタリアへ渡る当日、私はモンテネグロにある「コトル」という街からフェリーが出発する港があるクロアチアの「ドブロブニク」まで、バスで移動する予定を立てていた。
コトルを出発する予定時刻は朝の7時10分。目的地のドブロブニクへの到着予定時刻は9時30分。
12時に出発するフェリーに乗るには、十分に余裕のあるスケジュール。だと思っていた。
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想定外の混雑だったクロアチアのハイシーズン
そんな余裕を持って立てていたクロアチア滞在中の全ての計画を狂わせたのが、夏のハイシーズンに伴う大混雑。
つい半月前にも、クロアチアのフヴァル島からスプリットまで渡るフェリーが約2時間遅れ、乗るはずだったバスを逃してしまったばかりだった。
クロアチアで一番参った日
そしてクロアチアに入って最も「参った」と思った混雑は、つい2日前に経験したクロアチアのドブロブニクからお隣の国モンテネグロのコトルへ移動する際の大混雑。
私が乗るはずだった午前10時ドブロブニク発のバスは、バス会社のミスでオーバーブッキング。私を含む10名が、バスに乗り込めずドアの前で立往生していた。
もちろん全員、事前に予約を取っていたし、バス会社の言う通りにチケットをきちんとプリントアウトして手元に用意していた。
当たり前のようにバスに乗れない全員の不満は高まり、不満の声や説明を求める声が飛び交う中で、バスの運転手もかなりピリピリしていた。
そんな中で強行突破に出たのがバスの運転手
「とにかく次のバスが来るまで待つように」。らちがあかないと思ったのか、バスの運転手はそのひと言だけ告げてバタンと乱暴にバスのドアの閉め、私たち10名をかなり不快な方法で締め出した。
「しょうがないか」
そんなちょっとありえない状況でも、その時の私は気持ちに比較的余裕があった。その日はコトル入りするだけで、後に迫る何か特別な計画を立てていたわけでもなかったから。早々にスーツケースに座ってパソコンを開き、次のバスが来るまでの時間を潰すことにした。
そして11時に到着するはずの次のバスがようやくやってきたのは、1時間半遅れた12時半。それでも無事にバスに乗れたので良しとし、後は約2時間半もすればコトルに着くか。そう思っていた。
夏のハイシーズンは道路も国境超えも大混雑
そこでまた待ち受けていた大混雑が、クロアチア・モンテネグロ間で行う出国・入国審査。国境に続く道は一車線しかなく、出国・入国審査を行うゲートのはるか先まで車の渋滞が続いていた。
炎天下の中でクーラーも効かないバスでじっと待つ事1時間以上。ようやくクロアチアでの出国審査を終えたと思ったら、次に待つのはモンテネグロへの入国審査。
自分の審査を終え後、バスの他の乗客が審査を行っている間にトイレを済ませようとすると、そこにもまた長蛇の列。結局あまりにも列が長すぎてバスの出発までにトイレを済ますことはできず、慌ててバスに引き返す。
その時、私がトイレに行った事でバスの出発が少し遅れたと運転手に怒鳴られる始末。
大混雑でストレスが溜まっているのは分かるけど、それはお互いさまじゃない。
喉元までそんな言葉がこみ上げてきたけど、ここで怒っても何も意味がないと思ったのでやめた。ただただ、できれば感じたくなかった人間の内側に触れた気がして、残念で悲しい気持ちになった。
そしてようやく目的地のコトルに着いたのは、本来の到着予定時刻から4時間も過ぎた午後5時半だった。
通常だったら片道2時間~2時間半で行けるところを、夏のハイシーズンの大混雑の影響で2倍以上の時間がかかっている。
国境を越える必要があるので、バスは予定時刻よりも遅れる可能性があることはチケット購入時にもアナウンスがあった。
でもまさか、予定時刻から4時間も遅れるとは思ってもみない。遅れても1時間程度だろうと思っていた。
結局この日の移動にかかった時間はほぼ丸1日。そしてどこに行っても人人人の大混雑、加えてバスの運転手の終始ピリピリした雰囲気。さすがにこたえたなぁと感じた一日だった。
そして目的地のコトルに着いた時には、そんな気疲れも重なってヘトヘトになっていた。
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