裸の集団がロンドン中を駆け抜ける!World Naked Bike Ride in ロンドン
2017年6月10日(土)、ロンドンでは「World Naked Bike Ride」のイベントが開催された。物珍しさと好奇心以外の何でもない動機だけでサイクリングコースに駆けつけてみると、そこには裸で自転車にまたがり、ロンドン中を疾走するライダーたちの光景が広がっていた。
※イベントの主旨に関しては、記事内の最後で紹介しています。
この記事/ページの目次
スタート地点で軽やかに服を脱ぎ捨てていくライダー達
World Naked Bike Ride in ロンドンのスタート地点は全部で7つ。集合時間になると各地点には参加者たちが続々と集まり出し、軽やかに服を脱ぎ捨てていく。
今回私が駆けつけたスタート地点はロンドン・ブリッジやロンドン・タワーの近くにある「タワーヒル(Tower Hill)」駅。
スタート時間の30分前からライダー達がどこからともなく集まり出し、出発時間直前になるとあふれかえるほどの「裸のライダー」で広場が埋め尽くされた。
そして時刻が15時にさしかかった頃、ライダー達は一斉に自転車にまたがり、ロンドンの街へと繰り出していく。
裸のライダーたちがロンドン中心地をジャック
ロンドンの観光地としてもっとも有名な場所の一つ「ウェストミンスター」は今回のWorld Naked Bike Rideのハイライト地点。
自動車も通常走行している中で道幅いっぱいに裸のライダーたちが広がり、文字通り道路を占拠している状態に。そしてそんな彼らをひと目見ようと集まった見物客たちでも溢れかえり、ロンドンの街は軽いパニック状態に。
大混雑状態の中でも、誰もが笑顔
街中に人があふれかえって軽いパニックな中でも、その場にいる人たちの表情ははどれも満面の笑顔で埋め尽くされている。
このイベントを整備するために稼働していた警察官や駅員ですらみんな笑顔だ。裸になる、裸を拝む、という非日常的な行為をロンドンという街をあげて全員が楽しんでいるようにも見えた。
予期せぬ光景に「何事か」ととまどう人々も
多くの人たちが笑顔で楽しんでいる一方で、このイベントが開催されることを知らなかった人たちは「何事か」と一瞬怪訝な表情を見せる。でもそれはものの数秒。
誰もが慌ててスマホを取り出し、この予期せぬ“ハッピーな”アクシデントを記録するためにシャッターを夢中で押し続けていた。
「これ違法じゃないの!?でも眺めていたいよ!正直パニックだよ!」
私がスタート地点のベンチに座って準備をしているライダーたちを眺めていたとき、たまたまこの場所を通りかかったというベトナム人の若い青年が軽いパニック状態で私の隣に座っていた駅員の女性に質問を投げつけた。
ちなみにこの駅員の女性はほんの数分前「こんなにたくさんの裸が見れるなんてすごい!」と嬉々として私に話していたばかりだ。
混乱していた彼は駅員の女性からイベントの主旨を聞くと満面の笑顔になり、その後の観光の予定をキャンセルして裸のライダーたちを見学すると決めて私の隣に座りこんだ。
きっと彼は、このハプニングを最高のお土産話として持ち帰ったに違いない。
排出ガスの量を減らそう
この「World Naked Bike Ride」の活動の主旨は大きく分けて2つ。ひとつは「排出ガスの量を減らして地球を温暖化から守ろう」というもの。
国連の調査によると、自動車から排出されるガスが主な原因となって地球の温暖化が加速し、今後50年のうちにおよそ百万種にのぼる植物や動物たちが地球上から姿を消すと言われている。
“車に乗る代わりに少しでも多く自転車に乗って排出ガスの量を可能な限り減らし、地球上にある植物や生物を絶滅の危機から救う”
彼らの活動には、そんな熱い思いが込められている。
ありのままの自分のからだに自信を持とう
そしてもう一つの「World Naked Bike Ride」の活動主旨は「ありのままの自分のからだに自信を持とう」というもの。
彼らが裸になるのは「自分の姿を恥じることはない」という理由から。やせていようが太っていようが、垂れていようが出っ張っていようが、「ありのまま」の自分のからだに自信をもって過ごすことが大切で、隠す必要は一切ない。
「自分のからだをもっと愛そう」というスローガンのもと、参加者たちは服を脱ぎ捨て、ありのままの姿をさらけ出している。
思い思いのボディペイントを楽しむ参加者たち
「自分のからだが好き!」という意思を表明するためにボディペイントを施したり、地球の温暖化を止めるためのメッセージを書いたり、参加者たちは思い思いの裸のファッションを楽しんでいた。
正直、中にはただ単純に公共の場で裸になることを楽しんでいる人もたくさんいる感じがしたけど、それが許されるのがこのWorld Naked Bike Ride。
まずは参加者たちがイベント自体を楽しむことにも、大きな意義があるはず。
2003年から活動を開始、2017年で活動14年目を迎えたWorld Naked Bike Ride
World Naked Bike Rideが活動を始めたのは2003年。それから世界各地で今回紹介したのと同様のイベントを開催し続け、2017年で14年目を迎える。
イベントの開催が多いのはイギリス、オーストラリア、カナダなど。特にロンドンでは「ロンドンを象徴するイベント」とも言えるほどの規模になっているとのこと。
ちなみに公式サイトによると、日本ではまだ一度も開催されていない。
どれだけ服を脱ぎ捨てるかは参加者の意思に委ねられている
このイベントの参加者たちは、必ずしも全裸にならなくてもいい。パンツだけははきたい、ブラもしたい、という選択も自由。このイベントの趣旨に賛同さえしていれば、誰でも自由に参加することができる。
水着でならば……私もいつか参加する気になるかもしれない。
参加する勇気はないとしても、見学だけで刺激は十分あり
ということで今回のWorld Naked Bike Ride in ロンドン。
目の前にいる彼らはほぼ全裸なんだけど、いやらしさのかけらもなく、むしろ眩しくさえ見えた。自分が服を着ていることにちょっぴり恥ずかしさを感じるほど。
でもだからといって、私は彼らのようにはまだ脱げない!
今回日本人を含むアジアの参加者は、私が追いかけた範囲では一人も見かけなかった。
こんなに軽やかに裸になれるのも、欧米の人たちならではのオープンな価値観からなのかもしれない。
それにしても、何とも刺激的なロンドンでの一日でございました……!
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