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映画『エール!』で人生学/家族はひとつ!笑って泣ける、爽やかで愛おしいフランス映画

映画『エール!』で人生学

「家族はひとつ」

いつも明るくオープンで、愛にあふれてるポーラ一家の合言葉は「家族はひとつ」。常に互いを思いやり、助け合い、支え合う。たとえ日々のいざこざや多少の衝突はあろうと、一家に訪れる出来事全てを含めて「家族はひとつ」なのだ。

シンプルだけど大切なことを日々確認・伝え合っているポーラ一家は、家族という存在の尊さを教えてくれた。

※以下、内容にネタバレを含みます

家族はひとつ

(C)2014 - Jerico - Mars Films - France 2 Cinema - Quarante 12 Films - Vendome Production - Nexus Factory - Umedia

(C)2014 – Jerico – Mars Films – France 2 Cinema – Quarante 12 Films – Vendome Production – Nexus Factory – Umedia

この映画は、とにかく爽やかだ。見るものを清々しい気持ちにしてくれる。喜怒哀楽が激しくていつも忙しく、一生懸命で真っ直ぐ、家族への愛情いっぱいのママ。口は悪いが正義感にあふれ、いざという時には頼りになるパパ。思春期でちょっとおませな弟。そして耳が聞こえない家族を色んな面でサポートする主人公ポーラ。

とにかくポーラの家族は愛情にあふれていて、こんな家族っていいなぁと思わずにはいられない。

夫婦のセックスを3週間も我慢できるワケがないと娘に通訳させて医者に抗議したり、ポーラに初めての生理が訪れた際にはズボンについた血のシミを嬉しそうに披露して喜んだり、パパが選挙に出る時には全員で協力してPRに奮闘したり。とにかく家族が最優先なのだ。

ともすると子どもは窮屈に感じてしまうかもしれないほどの結束力だが、素直で思いやりのあるポーラと弟を見ていると、パパとママの「家族はひとつ」方針は全くもって間違っているものではないということが分かる。

笑顔のママ、決断のパパ、バランスがしっかりとれていて家族としてのチームワークが抜群

(C)2014 - Jerico - Mars Films - France 2 Cinema - Quarante 12 Films - Vendome Production - Nexus Factory - Umedia

(C)2014 – Jerico – Mars Films – France 2 Cinema – Quarante 12 Films – Vendome Production – Nexus Factory – Umedia

ポーラの家族は、それぞれの役割分担が比較的はっきりしている。笑顔を振りまくママ、家族の耳となり話を聞くポーラ、そしていざという時には決断力のあるパパ(弟はまだちょっとベイビーなイメージ)。それぞれの「持ち場」でおのおのが実力を発揮していて、バランスのとれた強いチームが出来上がっている。

そして何よりパパとママが深く愛し合っていて、仲がいい。子どもの友だちが来ている昼間に隣の部屋でメイクラブしてるし、パパが立候補した村の選挙でテレビの取材が入った時にはパパの少ない髪の毛をママが一生懸命整えたりする。

そしてポーラのパリ行きでママが悲しみに打ちひしがれているときも、ポーラに「パパとママを二人きりにしてくれ」といって支え合う。子どもを産んで親となる以前に、パートナーとしてのチームワークも抜群なのだ。

そんな互いを大事にし合っているパパとママの、愛情あふれるやりとりにもとても心が温まるのがこの『エール!』なのである。

耳が聞こえないからこそ、暖かいコミュニケーションができるのか?

手話をメインとするコミュニケーションの中で、印象的なのは登場人物たちのその表情が実に豊かなことである。嬉しいとき、悲しい時、怒っている時、声色という情報が遮断されているからこそ、顔の表情で気持ちを強調している。

顔も思いっきり使ってコミュニケーションをとる。それは、とてもいい事なのではないかと感じる。伝える側にとっても、声色を使う以上に感情をうまく発散できるのではないだろうか。

最後のシーンでポーラ一家が抱き合うシーンでも、その蜜なコミュニケーションが印象的だった。パパは顔をゴシゴシポーラの頭や肩にこすりつけ、ママはポーラの髪の毛の匂いを必死に記憶して別れを惜しむ。その全身を使ってのコミュニケーションは、なんだか見ていてとても暖かい気持ちにさせてくれた。

補足1:真っ直ぐでピュアな家族の愛情に、涙ポロポロ

(C)2014 - Jerico - Mars Films - France 2 Cinema - Quarante 12 Films - Vendome Production - Nexus Factory - Umedia

(C)2014 – Jerico – Mars Films – France 2 Cinema – Quarante 12 Films – Vendome Production – Nexus Factory – Umedia

歌のためにパリに行くというポーラに、初めは反対していたパパとママ。それでも学校の発表会でポーラの歌の実力を確信したパパは、最終的にはポーラをパリに送り届けることを決断する。

そのプロセスでポーラたち一家の家族の愛をひしひしと感じ、そのピュアな愛の美しさに思わず涙が溢れてくるのだ。

家族の愛に泣けるシーン1:パパのために歌うポーラ

学校での発表会の途中、ポーラの歌声に聞き入る観客たちの表情に気が付いたパパ。その夜、ひとり夜風に当たっているポーラの側に座り、「もう一度ここで歌って」とお願いする。

パパは音が聞こえないからポーラの喉に手を当て、その振動でポーラの歌声を感じとる。歌っている人の喉はどんな風に震えているんだろう? きっとポーラのそれは、心地よく、暖かさを感じるものに違いない。

家族の愛に泣けるシーン2:オーディション中、歌詞を手話にして歌うポーラ

耳が聞こえない家族のために、ポーラは歌詞を手話にし、家族へのメッセージとしても歌を歌う。そのシーンが、本当に暖かい。

成長して親元を離れていく娘のことを素直に喜べなかったパパとママも、ここでようやくポーラの本心を知る事ができるのだ。そしてポーラの歌声があまりに美しくて、さらに涙を誘うのである。

補足2:ポーラが歌う「青春の翼」が爽やかに心に響く

オーディションで歌う歌として「青春の翼」を選曲したポーラ。この歌詞はそのままポーラからパパとママへのメッセージとなっていて心に染み、この映画で一番の見どころとなっている。「青春の翼」のフランス語の原題は「je vole」で、直訳すると「僕は行くよ」という意味。

子どもから大人になる過程で揺れる心を表現しているような歌詞がまた素敵で、この歌詞をあんな美声で歌われたら、応援する以外の選択肢はないのではないだろうか。

せっかくなので、「青春の翼(je vole)」の動画と歌詞もご紹介。

(歌詞)

ねえパパとママ、僕は行くよ
旅立つんだ、今夜
逃げるんじゃない
飛び立つんだ
酒もタバコも捨てて飛ぼう

無言のまま不安げなママ
感じてたんだね
聞こえてたんだね、きっと

僕は大丈夫
そう答えると
ママはうなずき
パパは無理に笑う

振り返らない
遠ざかる
駅から駅へ
やがて海へ

僕は行くよ
今、旅立つ
飛び立つんだ、今夜

逃げるんじゃない
飛び立つんだ
酒もタバコも捨てて飛ぼう

見たかもしれない
パパとママは
僕の涙を
でも戻らない
進もう

人生を信じて自分を見つめる
どう生きよう
思いにふける
独り

息が詰まるこの鳥カゴ
胸がつかえ
歌えない
思いきり

ねえパパとママ
僕は行くよ
旅立つんだ、今夜
逃げるんじゃない
飛び立つんだ
酒もタバコも捨てて飛ぼう

ラララララ〜…

飛ぼう、飛ぼう

家族はひとつ!笑って泣ける、愛おしいフランス映画

(C)2014 - Jerico - Mars Films - France 2 Cinema - Quarante 12 Films - Vendome Production - Nexus Factory - Umedia

(C)2014 – Jerico – Mars Films – France 2 Cinema – Quarante 12 Films – Vendome Production – Nexus Factory – Umedia

ポーラの家族は誰も人間らしくて、真っ直ぐで、常に互いを大切にし合う。自立して実家から離れて住むことによって「家族はひとつ」のカタチは変わっても、心の強いつながりが消えることはない。家族って、いいなと素直に思える物語だった。

【予告映像とあらすじ】

耳の聴こえない家族の中、唯一聴こえる少女には歌の才能があった-少女の夢と家族への愛を乗せた歌声が起こした、最高の奇跡とは?

フランスの田舎町。酪農を営むベリエ家は、高校生のポーラ以外、父も母も弟も全員耳が聴こえない。美しく陽気な母、熱血漢な父とおませな弟。一家の合い言葉は、家族はひとつ。オープンで明るく、仲のいい家族だ。ある日、ポーラの歌声を聴いた音楽教師はその才能を見出し、パリの音楽学校のオーディションを受けることを勧める。夢に胸をふくらませるポーラだったが、彼女の歌声を聴くことができない家族は、彼女の才能を信じることもできず、もちろん大反対。夢に向かって羽ばたいてみたい、だけど私がいなくなったらと、ポーラは悩んだ末に、夢を諦める決意をするのだが

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